宮部みゆき
2019年09月16日
2011年05月24日
★小暮写真館
宮部みゆきさんの作品は、人の心の奥に潜むベッタリ闇を描く、読んでいて段々滅入ってくる作品と、例え悲劇に終わろうともほのあたたかいものを感じさせてくれる作品とあるが、こちらは後者。しかも、悲劇というよりファミリードラマ。まぁ、単なるあったかではない芯があるのが宮部流ですが。
写真館だった古家を買った一家と、親しい人びとを通して、一家の抱える芯に迫る話ですが、キーとなるのが、この写真館に住み着いているらしい、元オーナーのおじいちゃんの幽霊。
一種の幽霊話めいたところもあるのですが、おどろおどろしさは全然無くて、むしろその存在のために、特に主人公の高校生がフタをしていたある思いが浮かび上がってくるという仕掛けです。
ユニークな友人たちなど、登場人物も面白く、分厚い本ですが、スムースに読めました。
kaikoizumi2005 at 16:30|Permalink│Comments(0)│
2008年12月11日
★おそろし
新興の袋物屋、三島屋に使用人として住み込むことになった訳アリの姪、おちか。実家で起きたある事件のために心を閉ざしていたのだが、叔父が留守の時に相手をした客から聞いた面妖な話をきっかけに、叔父が用意した白黒の間で、様々な話を聞き、自らの閉ざされた心がだんだんにほぐれていくというお話。
人間というのは、本当に怖いものや不思議な話が好きなんだなぁと思わされる作品であり、しかも、その話が千夜一夜物語や、○○物語集と言ったように集積していくと、益々ぐいぐい引き付けられるのだと改めて思う。
おちかをめぐる事件については、だんだんに明らかになり、客達の話と、おちかの身の上の二つが奇異な話なので、推理小説とは違うタイプではあるが、謎解きの面白さが味わえる。
kaikoizumi2005 at 22:00|Permalink│Comments(0)│