学習障害
2008年11月12日
<自腹:図書カード>発達障害の子どもたち
珍しく自腹(と言っても溜め込んだ図書カードで、ですが)で求めました。
教育現場で増えているといわれる発達障がい。悩める親御さんも大勢いらして、巻末の方で明らかになりますが、著者の勤務先である公立医療施設では、な、なんと初診まで3年待ちです。このほかにも保険診療が効かず、高額な費用が掛かるのにも拘わらず初診待ちが1年以上という医療施設の話も聞いたことがあります。
臨床の現場に長い著者の、ご本人と親御さんに許可を得て述べている(勿論、詳細は変えてあるようですが)事例の中には、当時としてはベストを尽くしたつもりでも、結果として力及ばずで本人に二次障害が出てしまって、あいすまなかったという事例もありますし、思いの他、順応が出来た事例もあります。
要は本人のためを思うこと。これについては、今までの(今でも、ですが)教育界が障害児教育をおざなりにして来たことによる保護者の不信感も大きいようですが、色々な誤解があり、本人に負担が掛かってしまったり、逆に、本人裁量に任せるという美名の下の放任など、発達障がいの育ちに良くない影響を与えることが幅をきかせたり、一方で、これをやれば治る!という怪しげな療法があったり・・・
投薬についても著者は丁寧な匙加減で多くの事例で改善が見られるので、薬依存、または薬嫌いにならず、医師の指示に従って欲しい旨を書いておられます。
ただし・・・教育現場のみならず、医療現場に於いても現状のお粗末さが随所で併記されていて、(アタリハズレがあると言うことになります^^;)ハズレの事例も多く耳にしているだけに、保護者が自己流や、ドクターショッピングに走るのも無理からぬ事と思います。
発達障がい=不治=不幸ではなくて、持って行きようで、治るというか、適応が良くなるという事を多くの事例と共に紹介しているので、読んでいて希望を持てる本ですが、同時に児童虐待がもたらす発達障がいという新たな項目があり、育て方次第で子どもの発達の偏りが大きくなる、また発達障がいのもっていきようで非行に走る傾向が大になる(決して、いわゆる定型発達の人と比べて犯罪発生率が高いという訳ではないので、そこは誤解しないで欲しいものの)という部分には、育ての難しさを感じました。
結論として、発達障がいにかかわる人たちが、場合によっては本人自身も含め、真剣であれば救いのある本ですが、全く意欲や情報が欠乏している場合(当然、この本は手に取らないでしょうしね)に色々な意味でのリスクがあると述べてもいる訳で、より多くの人にこういう本を読んで欲しいものです。
kaikoizumi2005 at 17:57|Permalink│Comments(0)│