兄弟
2009年02月02日
★自閉症ボーイズ ジョージ&サム
イギリスのシングルマザーで3人の男の子の母である著者。離婚の理由はそうとははっきり書いていないけれど、やはり子育てをめぐる状況にあるのではないかと思う。
長男のジョージ、二男のサムはそれぞれ現れ方が違うけれど、自閉症。極めて美しい容貌を持ちながら、自らの美質には無頓着な二人。故に、街に出てしまうと、車椅子や松葉杖を使っている人にだったら決して「ちゃんと歩きなさいよ」と言わない人から「親のしつけが悪いから」と言われたり、家の中が混乱したりと、普通の人では体験しないような大変さがある一方で、腹をくくってしまえば(これは、別に障がいのある子どもを育てている人のみならず、介護や、倒産等、何らかの困難を背負った人ならば共通かも知れないが)案外と良い面が見えていると励ましてくれる本でもあります。
障がいや難病のある人の周辺が書いた本の場合、時として「この治療、この療育良かったんです!」というわき目もふらない頑固さを見かける場合がありますが、この本は「親の気持ちとして、何もしないで後悔したくないから試し、それなりの効果があったけれど、それは本当にこの方法がもたらしたものなのか、同時期の状況がもたらしたものなのか分からない。それにサムに効いても、ジョージに効いたかは分からない」とかなり客観的で、読み手が鼻白まないで済みます。
これには、はたから見ると大変そうに思える、二人の、異なる現れ方をしている自閉症児の親である事が寄与しているかと思います。そして、三男の定型発達をしているジェイクとの比較も寄与しているでしょう。
巻末に自閉症者のいる家庭にどんな援助ができるか書いてあります。ごくレアの事例ながら、障がいのある人が犯罪の容疑者となると、まるで全ての障がい者が恐ろしい犯罪を犯すといわんばかりの対応をする人もいますが、この本は、本当は、そういう人にこそ読んでもらいたいですね。(多分、そういうタイプは、よほどの奇縁がないと、手には取らないんだろうなぁと思うけれど・・・)
自閉症ならではの見方、感じ方を分からないながらも、一生懸命理解しようとして、それを淡々と描いている著者の表現方法にとても好感が持てました。時々「ひどい母親だと思うかも知れないけれど」と一般常識と離れた対応をせざるを得ない事に躊躇いを感じる著者に「そんな事ないよ、それでいいんだよ」と言ってあげたい気持ちになりました。(^_^) 近所に住んでいたら、絶対にお友だちになりたいなぁ。(あ、言葉の壁があるかぁ・・・・(^^ゞ)
とても良い本で、もっと広く読まれて欲しいと思いました。
kaikoizumi2005 at 15:39|Permalink│Comments(0)│
2008年09月28日
★戸村飯店青春100連発
市民図書で新刊本として紹介されながら、なかなかめぐり合わず、やった! 今日図書に行ったら、棚に戻ってきたところをキャッチできましたっ!
どっぺり大阪(関東人の思うところの、と言いたいですが、著者自身が大阪の方ですから、本当の大阪のエッセンスなんでしょう)の下町にある戸村飯店という庶民的な中華料理屋の息子二人、イケメンで何事にもスマートなヘイスケと、ごっついお笑い系で笑いを得意なコウスケという年子の兄弟。
出だしはコウスケが片思いの可愛い女の子から、兄貴へのラブレターの代筆を頼まれるところから始まります。
コウスケ、ヘイスケ、同じ部屋に寝起きしながら、全然仲が良くない。特に思春期以降は必要最小限度しか口をきかないような状態。
コウスケからしてみれば、兄貴は要領がよくていい加減。外面しか見てない女の子からモテルんだとろくでもない評価。兄貴のヘイスケは小説家になりたいと言って、高校卒業後、いい加減な専門学校へ進学し状況してしまいます。ここまで読むと、読者は俄然コウスケ派になりそう。続きを読む
kaikoizumi2005 at 15:00|Permalink│Comments(0)│