ロバート・ランキン

2009年01月11日

□ブライトノミコン


ブライトノミコン
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書評/ミステリ・サスペンス


本が好き!の献本です。

いつもガーッと読み、パッパッと拙速な書評(もとい感想文f^_^;)を書く私が、すこぶる時間が掛かり、しかも高ポイントをつけられないのは、この作品が悪いのでは無く、作品と相性が合いにくかったからにつきます。

まず第一に、私がこの作品で多発するギャグや破天荒な事象を味わえる年代でも、嗜好の持ち主でも無かったと言う事。1960年代のイギリスのカルチャーに憧れていた、つまりは団塊から上の世代、あるいは、年少でもそれらに造詣の深い人なら簡単に入り込め、ニンマリ出来たのでは?と思いますが、私にとっては、子どもの頃に親が懐メロ番組を見て感動しているのを見たが如くのギャップがありました。

続いて、折しも大学生の大麻所持が問題になっていて、我が子は大丈夫かいな、とピピピとなっているところに主人公リズラを助け冒険を共にするミスター・ルーンなる怪人物が麻薬愛好家と言う触れ込みでは、子育て道中の間にいつしかPTA的な発想に練り上げられた私の頭が、あかんのじゃない?と抵抗したのでした。

そして、万能なのにひどくいい加減と言うミスター・ルーンのキャラクターが、どうしても昨年前半に読んだ「夢をかなえるゾウ」のガネーシャとかぶってしまうと言うタイミングの悪さと……

それで、1/3位読むまでが、茨だらけの道を歩く位大変だったのであります。

3つの呪縛が取れ始めたのは半分程も読んでから。

ミスター・ルーンは麻薬愛好家と言うけれど、幻聴に基づき銃を乱射するような人物ではないし(ただし、杖を振り回してタクシーに無賃乗車したり、食事代踏み倒しはしょっちゅうの凶暴な人物です)、ガネーシャのようにいい事、またの名を説教も言いません。

イギリスのポップカルチャーだけでなく、史実も踏まえた(らしい)内容は教養テストのようでもありまして、訳の分からなかった登場人物の性格がようやく分かる頃に物語はクライマックスを迎え、収束に向かうのです。

全く勿体無かった。最も作品と一体化しにくい時期にしにくいコンディションで出会ってしまったようです。

それで、巻末で主人公リズラが自分の正体を取り戻してから述べる、著者の別の作品を、今度は呪縛無しに読んでみたい、と思っております。


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kaikoizumi2005 at 16:07|PermalinkComments(0)
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