2013年11月11日

□ニッポン西遊記

本が好き!の献本です。

この本を手に取る直線に映画館で見た「さよなら渓谷」で著者にお会いしました。

最終的にはやわらかくなるけれど、序盤では賢そうだけど冷たく、多少ヒステリックな雰囲気を漂わせ、実生活でご一緒したくないタイプのキャリアウーマンという設定でした。

その直前イメージが強いまま、本書のページをめくると、あーら不思議、いえ、その不思議をこなすからこその女優さんなんですが、知的な部分を残し、スクリーン上に漂っていたこわいイメージはきれいさっぱり無くなり、観察眼に優れた感受性豊かな女性がいました。


仕事やプライベートでの海外の辺鄙な場所訪問で、先住民たちの叡知に触れているうちに旅中毒と化したという著者が、五年ほど前に、今、日本だ!と強く思うようになってからの紀行ですが、日本の旅への目覚めから、西遊記メンバーとのつながりが出来るまで、巡り合わせという言葉にふさわしいご縁があり、著者を三蔵法師に見立てて、悟空、沙悟浄、猪八戒の総勢四人がメインメンバーの古事記のゆかりの地めぐりが始まりました。

旅程の中には今年が節目の年で観光スポットとして大にぎわいの出雲大社や伊勢神宮と言った超ポピュラーなところもありますが、大概は一般的なパックツアーでは、まず行かない場所ばかりです。

古事記の記述にしたがって、国産み、天岩戸開き、国譲り、天孫降臨、海幸彦と山幸彦の兄弟喧嘩、神武東征の章立てになっています。


神話の世界から始まっている古事記ですが、神話の舞台は、ほとんどが神域やパワースポットで、巻頭に置かれた沙悟浄こと、イケメンカメラマンの井島さんの写真たちが、その場の凛とした空気を伝えてくれます。

読み進むうちに、しばしば猛烈ハードスケジュールで移動をしているのが分かる三蔵法師ご一行様。たまに悟空や猪八戒に疲れが見えるものの、三蔵法師のポジションらしい筆者の訪問場所の細部への目配り、イマジネーションの豊かさは、単なる仕事ではなくて、好きで好きでたまらないからこなせるものなのだろうなぁと思わされます。

 本当はかなりへビーな旅程らしいのに、とてもゆったりした筆致で、ところどころにユーモラスな表現もあり、ご一行様と一緒に、秘境の旅に連れて行ってもらったような気分で読めました。

 行く先々で、まことにタイミングよく虹が見えたり、不思議な空気を感じたりと言う旅の道中。こういうのをご縁のある旅というのだろうなぁと思いました。今は、行った先でガツガツと動いてしまいがちな旅をしている私ですが、いつか、こんな風に、想像力をめぐらして楽しむ旅が出来たらと思いました。
 
読書blogランキングへ


 

kaikoizumi2005 at 23:59│Comments(0) 携帯からの投稿 | 歴史・地域情報

コメントする

名前
 
  絵文字
 
 
記事検索
オンライン書店なら・・・
Amazonもあるでよ。
紀伊國屋書店オンライン店
ずっと愛用しています。
Archives
最新コメント
甲斐小泉が編集協力しました!
QRコード
QRコード
楽天市場