2013年06月03日

★左京区七夕通東入ル



 京都偏愛人間には登場する殆どの地名が行ったことあるぞ!のほのぼの恋愛小説です。

 私の愛好する京大卒作家はいずれもベタな恋愛を描かない、もどかしいすれ違いやら、ほのぼの系でありますが、この作家さんもべたべたこゆい恋愛は描かないので合格!であります(笑)。

 女性作家さんなので、森見、万城目両氏の奇想天外系とはまた違って、荒唐無稽は無しで地に足がついたというか、飛ばない作品でありますが、その分、荒唐無稽の苦手な人には受け入れやすいでしょう(「息子には受けた」「私には無理だ」とか言いながら、万城目氏の「ホルモー」を最初の数ページで放り出したというけしからん友人が複数おります)。

 物語はブルーベリーの汁を当日着ようと思っていた服に掛けちゃったばかりに、違うおしゃれな服を着て出て、その結果合コンで出会いがあった主人公、京大生女子の中ではおしゃれで華やかな「花」と、何だかワケアリの恋人龍彦。寮生活を送る彼のユニークな親友たち、花の親友で京都一の人気を誇る女子大に通うアリサとその京大生の彼氏などを散りばめて、進んで行きます。

 以前は歯ブラシを部屋に置く程の関係だった彼氏に「気が多過ぎる」とふられた花。数学にのめりこむと周囲が見えなくなる龍彦との恋はスピーディには進みません。

 花は同級生の剛君とも仲が良いし、龍彦の親友たちヤマネ君とアンドウ君とも仲が良い。

 


 読みながら、著者と年がそう遠くはない長男の学生生活を追体験させて貰っている気分でした。

 関西の大学に通った長男、家を離れて、男女分け隔てなく、ちょうど花みたいな感じで楽しく学生生活を送ったのだと思われます。男女の学生の付き合いが今一つぎこちなかった母親世代とはずいぶん違うようで、一緒に卒業旅行と龍彦とヤマネ君、アンドウ君とドライブしたりもしています。

 もちろん、京都の学生生活、バイト先の事なども描かれていますが、今時、京大生だから家庭教師、塾講師という訳でもなさそうで、おしゃれが大好きな花もブティックで楽しくバイトしています。

 特に京大の理科系学生は「イカキョ〜」の典型のようで(いかにも京大生の略らしいです。ダサくて垢ぬけない、行けてないという事らしいです。あ、私が勝手に言ってる訳じゃなくて世間がそう言ってるらしいです)、この作品を読んでいて、近所の元イカキョ〜、もとい、私の友人のだんな様を思い出してしまいました。理科系京大OBで、挨拶するとそっぽ向くみたいなタイプですが、どっか大人になりきれず、会話もハマると普段の無愛想どこへやらでまっしぐら。これは間違いなく花ちゃんタイプの友人による救済結婚だったに違いないと・・・・(笑)。

 出町柳、鴨川デルタ(と言う表記はしていないが、要するにあの地点)、百万遍、御幸町、三条、などなどとにかくあそこ行った、ここ通ったの地名がてんこ盛りなので、そこで青春出来る彼女たちに対する羨ましさも募ります。京都の学生は例え京大生ではなくても、類似の経験が出来るはずな訳で・・・東京ではこの距離感でこれだけ豊かな川の流れや緑、神社仏閣へ足を運べる青春は・・・・ごくごく一部の大学生以外は無理というものでございましょう。

  いいよな〜、関西で学生生活って・・・と改めて、改めて思わされる作品です。

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kaikoizumi2005 at 22:30│Comments(0) 小説・物語 

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