2012年03月04日
□ルーズヴェルト・ゲーム
本が好き!の献本です。
タイトルのルーズヴェルト・ゲームとは奇跡の逆転劇、野球好きだったルーズヴェルト大統領が「一番おもしろい試合は8対7だ」と語った事に由来するそうです。つまり、崖っぷちからの生還を意味します。
景気の低迷により、実業団チームの休止のニュースを数多く耳目にするようになりましたが、この本を手に取った瞬間、種目は違いますが、3年前のお正月に見に行ったアメリカンフットボールのライスボウルの会場、後楽園ホールの近くで、チーム復活を訴えてチラシを配っていたかつての名門チーム、オンワードの選手たちの姿を思い出しました。
この作品では、青島製作所と言う技術力はあるが、あざとい営業は出来ない中堅企業の野球部がリストラの一環として廃部の危機にさらされますが、 それと同時に会社そのものも営業力のあるライバル企業ミツワ電機から持ちかけられた合併話で揺れます。
冒頭が野球部員の視点から描かれているので、野球部に対して理解のない会社の幹部に対して反発や不安を感じるような描き方になっています。
ところが、幹部は会社存続をかけて悩んでいまして、引き抜きで後継者と目されていた古参社員を飛び越えて社長に就任してしまった若い細川を中心に描かれる場面となります。金融機関からの融資を取り付けるために更なるリストラ策を講じないとという状態で、リストラリストを前に何とかしてやりたいと悩む中間管理職の姿も描かれています。
最初は敵役に思われた会社幹部たちにも悩みや苦しみがあり、彼らが単に野球嫌いの意地悪な人間ではないという事が読み進むうちに分かって来ます。
大手メーカーからの単価切り下げ等の要求、大事な納入先である光学機器メーカーからの新イメージスキャナー搭載機の前倒し発売に間に合わないなら納入業者を変えるというプレッシャーもあり、社内でも、半端な商品を作りたくない開発チームと、早く納めたい営業チームの間にきしみが生じています。
加えて、大手メーカーにつるんだミツワ電機の露骨な工作により、創業時代からの大株主にも揺さぶりがかけられ、本来ならば社長になっても良かった古参役員にも、合併出来たら社長の椅子を献じるという誘惑がチラつきます。
かつては名門チームだった野球部にとって苦難の時は続きます。それなりの手腕があると目されていながら何も実をあげなかった前監督がスター選手を引き抜いてライバルミツワ電機の野球部へと行ってしまった後、高校野球の監督をしていたという監督の采配の下、新たな戦力の構築をするのですが、あてにしていた選手のケガ、その後に期待を寄せた選手のスキャンダルが起こります。しかし、背水の陣で野球部にかかわる社員が心を一つにし、徐々に社内の応援も得られて、野球部廃部に向かう会社に対して、まさに8対7のゲームの様相を呈します。
読み進むうちに、ルーズヴェルト・ゲームを闘っているのは野球部だけではなく、そもそも青島製作所そのものが土壇場の正念場に立たされている事、敵役は社内にではなく、よそにあり、と言うのが分かります。
起死回生の一発は誰がいつ起こすのか?
ネタばれになるので詳しくは書きませんが、 創業会長でカリスマ性のある青島氏が現れると、場面がピリッと締まります。なかなかに魅力的なキャラクターです。もちろん、企業間の綱引き模様、納入業者の厳しさなども描かれていて、読み応えがあります。
読み終えて分かりました。実は青島製作所や野球部だけではなく、登場する全ての組織もルーズヴェルト・ゲームを闘っているのだと。
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ところが、幹部は会社存続をかけて悩んでいまして、引き抜きで後継者と目されていた古参社員を飛び越えて社長に就任してしまった若い細川を中心に描かれる場面となります。金融機関からの融資を取り付けるために更なるリストラ策を講じないとという状態で、リストラリストを前に何とかしてやりたいと悩む中間管理職の姿も描かれています。
最初は敵役に思われた会社幹部たちにも悩みや苦しみがあり、彼らが単に野球嫌いの意地悪な人間ではないという事が読み進むうちに分かって来ます。
大手メーカーからの単価切り下げ等の要求、大事な納入先である光学機器メーカーからの新イメージスキャナー搭載機の前倒し発売に間に合わないなら納入業者を変えるというプレッシャーもあり、社内でも、半端な商品を作りたくない開発チームと、早く納めたい営業チームの間にきしみが生じています。
加えて、大手メーカーにつるんだミツワ電機の露骨な工作により、創業時代からの大株主にも揺さぶりがかけられ、本来ならば社長になっても良かった古参役員にも、合併出来たら社長の椅子を献じるという誘惑がチラつきます。
かつては名門チームだった野球部にとって苦難の時は続きます。それなりの手腕があると目されていながら何も実をあげなかった前監督がスター選手を引き抜いてライバルミツワ電機の野球部へと行ってしまった後、高校野球の監督をしていたという監督の采配の下、新たな戦力の構築をするのですが、あてにしていた選手のケガ、その後に期待を寄せた選手のスキャンダルが起こります。しかし、背水の陣で野球部にかかわる社員が心を一つにし、徐々に社内の応援も得られて、野球部廃部に向かう会社に対して、まさに8対7のゲームの様相を呈します。
読み進むうちに、ルーズヴェルト・ゲームを闘っているのは野球部だけではなく、そもそも青島製作所そのものが土壇場の正念場に立たされている事、敵役は社内にではなく、よそにあり、と言うのが分かります。
起死回生の一発は誰がいつ起こすのか?
ネタばれになるので詳しくは書きませんが、 創業会長でカリスマ性のある青島氏が現れると、場面がピリッと締まります。なかなかに魅力的なキャラクターです。もちろん、企業間の綱引き模様、納入業者の厳しさなども描かれていて、読み応えがあります。
読み終えて分かりました。実は青島製作所や野球部だけではなく、登場する全ての組織もルーズヴェルト・ゲームを闘っているのだと。
kaikoizumi2005 at 16:04│Comments(0)│
│小説・物語