2011年01月02日

□ジョニー・B・グッジョブ



 本が好き!の献本です。音楽が好きな子どもが二人もいるもので、これは是非読んでみなくちゃ!と思った、音楽稼業の人々へのインタビュー集です。

 最初に思ったのは、いわゆるオタクとはアキバ系に代表されるゲーム好きや、パソコン電子モノ大好き系とばかり思っていたのですが、音楽の世界も相当にオタクっぽいんだという事。

 見た目でだっさ〜!とか言われる事の多い(失礼!)アキバ系とは違い、どちらかと言うとカッコイイ!と思われる音楽系の人々ですが、その中に入り込んでしまうと、業界用語が縷々述べられていて、一般人(と自分の事を思っています(^^ゞ)である私にとっては、???と言いたくなる事がたくさんありました。ページ下に注釈は書いてあるのですが、その中の言葉にすら見慣れぬものが多々。

 勿論、決してわけ分からん日本語で書かれている訳ではなく、むしろとても分かり易く起こされている各人の言葉なので、中にはとても分かり易く話してくれる人もいるのですが、時として、パソコン用語やら哲学的な用語を羅列されて、そりゃ何がなんだか分からん!と言いたくなった時に味わったのとそっくり同じ気分を味わうような、難しげな言葉で話される方もおられました。

(業界以外に通じない言葉で語りたくなるのが、恐らく音楽に限らず、あるひとつの業界に属する方たちならではの、帰属感を現す部分なのでしょうね)

 それはそうと、一般人が知っている著名なミュージシャン以外に、たくさんのミュージシャンがいて、また、私ごときは聞いた事も無いコンサートの名前なども紹介され、さらに彼らをバックアップする人たちがいるといると分かり、分からない事も多いなりに、大変に興味深かったです。

 帯に「こんな仕事で細々とでも食えるなら、それは人生の成功者といっていいでしょう」とありますが、ごくひとにぎりの商業的に成功したミュージシャン(テレビやラジオなどで日ごろ露出度が高く、よほど浮世離れしていない限り、耳目にするような方たちです)と職業的に確率出来た方以外、家庭を持って、子どもを持つのも難しいような世界のようです。が、それでもやりたいという程好きな人たちが携わっている業界らしいというのが、少なくとも、このインタビュー集を読む限りからは伝わって来ました。
 
 印象的なのは制作をされている方の「やっぱり、長く音楽をやるんだったら仕事はやめちゃだめでしょう。だって音楽って趣味なんだもん」という言葉と、この仕事につけたのは本当にラッキーだったという舞台監督をされている方の「幸せっていうのは、お金をどれだけ稼ぐとか、そういう物差しじゃなくて、楽しいと感じられる時間の長さで測られるものだと思うんです」という言葉でした。

 私の周辺で聞く限りの話ではありますが、音楽と言えば音楽教師やピアノの先生と言った「きちんとした職業」以外、「食っていけない」「ハイコスト・ローリターン」の代表選手であり、親が子どもの進路を考える時などに(よほどの才能の片鱗を見せれば別でしょうけれど)先ずは再考を促したり、妨害すらする事のある道かと思いますが、それでも、音楽をしたいという人が絶えないのは、やはり音楽にはそれだけの力があるという事。各人の言葉を読んで、改めて強く感じました。 

 本編の中では割と誰にでも分かってもらえる職業、音楽教師をされている女性の「音楽なんて嫌いだ」と思っていた生徒達が、彼女の授業を通し、音楽の楽しさに芽生えていく様子を語った章には考えさせられました。音楽は本来楽しいものの筈なのに・・・学校で習うことで確かに音楽嫌いになっている人たちが多かったな〜と。

 業界の独特の言い回し等についていけない部分もありましたが、どんな仕事も、結局は人と人のつながりが大切という事が伝わってくるインタビュー集でした。

kaikoizumi2005 at 16:28│Comments(0) 音楽・芸能関係 

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