2010年12月18日

★おじゃみ



  京都生まれの生粋の京女の描く怪談短編集。

 京言葉の語り口による京都市内、あるいは周辺部で起こる怪異を読んでいると、他地域の人たちの思う「いけずな京都」のぞっとする面が浮かび上がってきます。

 結構えげつない話だったりもするのですが、表はきれいでにっこりしつつ、裏で何やってるんだか、どんな悪口を言われてるんだか分からないと言う他都道府県人に底知れぬ恐怖を与える京都の暗黒みたいなものが漂ってきます。

 それと同時に、話題の提供者側の「京都だからの怖さですぇ〜」という優越感がものすごく漂って来ます。それが鼻に付くと思えば付くのですが・・・幸か不幸か私は京都バカなもので、舞台装置と台詞回しの絶妙さに喜ぶばかりです。

 この作品、ある種の「京都選別装置」的な趣があります。ぞぞけのさす語り口や、舞台となる風景に対し、だから京都だ!京都だから映える話と思うあなた(と私)は相当な京都バカ。何じゃこれ、やらし〜! こんなもんで怖がらせやがって!と思う方はアンチ京都の可能性も???

 私ごとですが、どうして京都に執着するんだろうと思っていましたが・・・・こういう底知れぬ面に嫌気がさしたらしく、田舎者の祖父が手に入れた京都の家を手放し、関東に引っ越してしまった。でも、祖母と母はいついつまでも京都、京都と言い続けていたからでしょう。私にとってはまるで呪詛みたいな京都の魔力・・・というのがこの作品にも滲み出ています。
 
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kaikoizumi2005 at 23:00│Comments(0) 小説・物語 

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