2007年04月16日

□ジャニヲタ 女のケモノ道


ジャニヲタ 女のケモノ道
  • 著:松本 美香
  • 出版社:双葉社
  • 定価:1470円
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 ジャニーズファンではなくて、もっとこゆいファン、オタクをジャニヲタというのだそうでありますが、何でも略して言いたがるジャニヲタ用語をはじめとして、コンサート(コンと言わねばならぬのか)やら握手会など、事務所が振り撒く、これでもかの仕組みにうまうまと乗らされて、ジャニヲタびんぼ〜に陥りながらも、非ジャニヲタから見たら、どうでもいいじゃんと思われる些細な出来事で、ときめいたり、パワーを貰ったりして過ごす、幸せなワタシ!のこゆい日々を描いた、私が学校時代の国語の先生なら絶対にお許しにならないようなハチャメチャな口語体の文体であります。

 非関西人の期待を裏切らぬ(?)きったな〜い墜落寸前で急旋回して上昇するようなギャグを随所にぶちかまし、こんなアホな自分をしっかり認識した上でヲタぶりを書いているので、本来的には「なんじゃ、この」と言う内容なのに、しっかり読まされてしまいます。アホを装いながら、著者、相当賢いんではないだろうかと思わせるのが、さすがお笑いの人じゃと感心しました。

 ジャニーズ事務所のやり方(システムと著者は言うてはります)に合わず、ヲタをやめてしまう人もいるし、自分も時々疲れるなど、このやり方はね〜よな〜という問題性も認識しつつ、こんなワタシらがいるから日本経済を潤すのに貢献していると言って憚らない著者。その開き直りがいいですね〜。こういう無鉄砲、無防備な分かっちゃいるけど、やめられない(の本家本元は先日お亡くなりになりましたね。合掌)という部分がある人はチャーミングです。

 モームスヲタとジャニヲタの合コンが1番盛り上がるってのも面白いエピソードでした。つまり、世間がどう言おうと、グッズやらおっかけやらでドびんぼ〜に陥ろうが、ヲタの皆さんは、実は心優しく熱い(時として暑苦しい)人なのね、と思わせてくれるのですが、それを著者がド汚い言葉で自虐ネタ満載で書いて、ウケを狙いつつ認知度を広めなきゃとなるのが、ヲタの現在の困難な立地を示しているとも思われました。


 せやけど、この本を読んでいるうちに、本ばっかり読んで、でも、手当たり次第でに何でもあり(ジャニヲタ的視点で言えば、他の事務所の芸能人やらロッカー系にも無節操に走るようなヤツね(笑))でディープに読めないぢぶんが、心の中に濃く燃える(あるいは萌える)もののない、不幸な、と言うのが言いすぎならば、幸せを体感するのがヘタなヤツだよね、と思われて来ました。

 若い子はギャグとして面白がるかも知れませんが、むしろ盛りを過ぎた(失礼!)ワタシも含めたオバサンずが安心して読める本ですよ。だって、ファンのあり方を描く事を通して、オバサンの心理も上手についていますから。著者の言うところのジャニーズの珍衣装に並ぶ珍なる力作と言えるでしょう。

kaikoizumi2005 at 21:55│Comments(0) 音楽・芸能関係 | コミック・コミック風エッセイ等

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