疎開
2010年08月26日
★終わらざる夏(上)(下)
上下併せての感想です。
1945年、第二次世界大戦末期、子どもたちは親から離れ、縁故疎開、または集団疎開を強いられ、大人は年齢ギリギリでも徴兵されたり、再徴兵が行われたりする中、密かに終戦工作に備えて徴兵された敵性語である英語に堪能な45歳ギリギリ手前の東京暮らしのインテリ片岡とその家族、片岡の徴兵目的を隠蔽するために一緒に集められた同郷の貧しいが、英雄とたたえられる鬼熊、こと冨永、教授の計らいで徴兵を逃れるために東大に入学していたのに軍医として招集された菊地青年の3人の動向を軸に、徴兵する側の苦悩や、疎開先で理不尽な苦労を強いられる子どもたち、敵方であるソ連軍兵士や将校の立場などに立って描かれた大作。
敗戦後65年を経て、当時を知る人が少なくなり、今を最後にと、隠蔽していた心の内を語る人が現れたり、新しい資料が出てきたり、また、忘れてはいけないと、今年も様々なドラマが制作されているが、戦争の理不尽さを、戦後生まれの著者が恐らくは膨大な資料を綿密に調べたり、取材の上で描いていると思われる。
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kaikoizumi2005 at 21:00|Permalink│Comments(0)│