浅田次郎

2013年11月20日

□世の中それほど不公平じゃない

  恥ずかしながら、子どもの頃から、新聞の人生相談を読むのが好きでありました。ついでに、母がラジオを流している時に聞こえてくる人生相談にも耳を傾けておりました。子供向け雑誌から、ティーンズ向け、大人向けの雑誌まで、人生相談が載っていると、占いより先に目を通しておりました。

 ところが、結婚してからは人生相談欄のない地方紙を購読していたので、日常的に人生相談を目にする機会がなくなり、また、自分が人生相談したい程の悩ましい時期を(今も時々落ち込んではおりますが)過ごした後、美容院や病院の類や、知人、友人宅で手に取る、雑誌、新聞の人生相談を見ると、かつてと随分様相が違っているなぁと思いました。

 偶然にも、この本を読む前に図書館に棚にあった落合恵子さんが、読売新聞紙上で行っていた人生相談をまとめた新書を読んでいたので、なおさらそう思いましたが、かつてのように、断言バリバリ型の回答はほとんど見られないことに気付きました。

 いまどき、断言して、やるな、やれと言うのは、人生相談ではなくて、ちょっと危ない占い師のオバサンだったりします。続きを読む

kaikoizumi2005 at 17:48|PermalinkComments(2)

2010年08月26日

★終わらざる夏(上)(下)





 上下併せての感想です。

 1945年、第二次世界大戦末期、子どもたちは親から離れ、縁故疎開、または集団疎開を強いられ、大人は年齢ギリギリでも徴兵されたり、再徴兵が行われたりする中、密かに終戦工作に備えて徴兵された敵性語である英語に堪能な45歳ギリギリ手前の東京暮らしのインテリ片岡とその家族、片岡の徴兵目的を隠蔽するために一緒に集められた同郷の貧しいが、英雄とたたえられる鬼熊、こと冨永、教授の計らいで徴兵を逃れるために東大に入学していたのに軍医として招集された菊地青年の3人の動向を軸に、徴兵する側の苦悩や、疎開先で理不尽な苦労を強いられる子どもたち、敵方であるソ連軍兵士や将校の立場などに立って描かれた大作。

 敗戦後65年を経て、当時を知る人が少なくなり、今を最後にと、隠蔽していた心の内を語る人が現れたり、新しい資料が出てきたり、また、忘れてはいけないと、今年も様々なドラマが制作されているが、戦争の理不尽さを、戦後生まれの著者が恐らくは膨大な資料を綿密に調べたり、取材の上で描いていると思われる。
続きを読む

kaikoizumi2005 at 21:00|PermalinkComments(0)

2010年07月19日

★ハッピー・リタイアメント



   いやらしい上司である敵役、元財務官僚の矢島というオヤジに対し、元財務省の役人で定年と同時に家族に愛想尽かしをされた樋口と、苦労人でお堅過ぎて職場で浮いていたらしい元自衛官の大友が、矢島の愛人でありながら酷く彼を憎んでいる40半ばの色っぽさをたたえる立花葵と組んで一矢報いるというストーリー。ここにこの天下り先であるJAMS(全国中小企業振興会)の創設時にマッカーサーと接して以来、ずっと職場におり、矢島のやりようを憎んでいる年配のひなさんの協力も得る。続きを読む

kaikoizumi2005 at 19:05|PermalinkComments(1)

2010年04月20日

★月下の恋人



 職人的にコンスタントにうまい浅田次郎の短編集。

 ひとつひとつ、完成形というよりは、まだこのあとに何か起こりそうな含みをもたせている作品群で、一種の怪奇譚であります。

 心中あり、怪しげなアルバイトの怪しげな先輩あり、ドジなヤクザの哀感あり、つぼ押し名人の訳アリな女将のいる宿の話あり、と、千夜一夜物語ではなくて、十一夜物語であります。

 怪談系というのは、スカッと切れない部分がありまして、それが良いという人と、カタルシスが得られないという人と好みは色々でしょうが、人が生きていれば、こういう変な事はありそうだなと思われてくるのが著者のうまさでしょう。

読書blogランキングへ


kaikoizumi2005 at 23:00|PermalinkComments(1)
記事検索
オンライン書店なら・・・
Amazonもあるでよ。
紀伊國屋書店オンライン店
ずっと愛用しています。
Archives
最新コメント
甲斐小泉が編集協力しました!
QRコード
QRコード
楽天市場