ノンフィクション

2012年02月29日

★救命



東日本大震災、医師たちの奮闘のサブタイトルを冠し、被災地の医師、支援に駆け付けた医師を取材し、監修者として医師であり人気作家の海堂尊氏が結んでいます。

自身も家族を失った医師をはじめとして、被災地では医療従事者や消防士、警察官、公務員と言った人たちは悲しみや辛さを押し込めて、人びとのために働く、そのために精神的に参ってしまうと言う過酷な事実には胸を突かれましたが、一方で彼らの文字通りの献身的な働きや、それを理解し、より大変な人や弱い人に支援をと譲り合う被災者の姿に、世界が驚嘆した日本人の素晴らしさと、悲しみの中にも希望を感じました。続きを読む

kaikoizumi2005 at 23:00|PermalinkComments(0)

2011年12月10日

★告白



 北朝鮮の拉致被害者、蘇我ひとみさんの夫、ジェンキンスさんの名前を聞かなくなってずいぶんになります。いっときはこの本の出版や、脱走兵としてのジェンキンスさんの芳しくない行動などが取りざたされた事もありますが、お元気にされているのでしょうか?

 たまたま近所の地区センターで発見して遅まきながら借りて来ました。

 朝鮮戦争時に前線から脱走、北朝鮮に保護されて・・・のはずが、かなり恵まれていたらしいと後から分かったとは言え、半幽閉状態の暮らしを続け、あきらめていたころに、小泉首相の北朝鮮訪問により、日本人拉致被害者がクローズアップされ、当初、被害者としてカウントされていなかった妻が先に出国して・・・という大筋は知っていましたが、生い立ちやひとみさんとの出会い、同時に暮らす事になった脱走兵仲間やその家族との暮らしなどがかなり詳細につづられています。

 ジェンキンスさんはいわばプアホワイトとして育ったようで、勉強も好きではないという、日本では落ちこぼれとカウントされるタイプだったようです。実際に蘇我さんが日本に戻ってしまってからの彼は事情が分からないために、相当荒れてしまったようで、そのあたりも率直に書いています。

 素行不良のために、犯人と決め付けられてしまったらしい大きな事件の冤罪の方たちを見ていると、あってはならない冤罪によることとはいえ、大きな苦難が彼らを磨いているのではと思う事がままありますが、ジェンキンスさんについても、同様なのではないかと思わされました。

 今の彼らが幸せでありますように! そして、最近になって生存しているのではと言われている横田めぐみさんが無事生きていて、ご両親に会えますように!

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kaikoizumi2005 at 18:00|PermalinkComments(0)

2011年07月17日

★ホームレス歌人のいた冬




連日挟み込まれるチラシを見ては連れ合いが安物買いに走るのを阻止すべく、我が家は折込チラシが薄い地元紙しか取らないでいます。

そこで、朝日新聞歌壇で話題になったホームレス歌人、公田耕一の名前を知ったのは、かなり遅く、多分彼が投稿をやめた後ではないかと思います。

投稿時には連絡先を明記するのが条件の歌壇で、ホームレスと名乗った、いわば規約違反の作品ながら、選者たちにそれを理由に切り捨てる事をさせなかった彼の作品は、作者の居住地の名乗りの特異さと歌の内容から多くの人々を惹きつけ、朝日新聞歌壇担当記者は名乗り出るように求める記事を書き、歌壇や投書欄には彼の作品に触発された投稿が続き、一部マスコミや研究者も、彼を追い始めるようになったという一連の記述で、私のように朝日新聞歌壇を全く知らなかった者にも、公田さんを取り巻くあらましが分かります。続きを読む

kaikoizumi2005 at 18:26|PermalinkComments(0)

2009年07月06日

★1945年のドイツ



 市民図書の新着本コーナーで篠田節子の小説とどちらにしようかと迷った末に選んだ本。
 
 第二次世界大戦で日本と三国同盟を結び(ムッソリーニの死以降、いつの間にか戦勝国に姿を変えてしまったイタリアに割かれている部分は僅少です)、共に犯罪的国家として裁かれ、共に敗戦直後はぼろぼろながら、脅威の成長を遂げたドイツと日本。

 未だに戦時中の我彼の犯罪や、戦勝国が行った行為が尾を引いていますが、本書では、ヒトラー政権の末期から描き始め、爆撃や市街戦を経てぼろぼろになったドイツの様相を、同時期にティーンエイジャーだった著者がジャーナリストの目で描いています。

 自らが犯した罪を贖うことを求められると共に、戦勝国側の利己的な駆け引きにも翻弄され、自らがナチの悪事に加担していることは露疑わないでいた「善意」の一般市民たちが多大な苦労を背負うのは、軍部の暴走に自覚せず加担していた日本国民が背負った苦労と共通しています。続きを読む

kaikoizumi2005 at 22:42|PermalinkComments(0)

2009年05月24日

★図書館ねこデューイ



 本が好き!で紹介されて、見事抽選に外れてしまった本。図書館で借りることが出来ました。

アイオワの小さな町の図書館に住み着いた図書館ねこの事を、出会いから、その死までを、母親と自負した図書館長が綴った本。

プアホワイトに近い生育歴ながら、自らの力と、当時のアメリカの制度のおかげで、大学や修士を修め、25年もの間図書館に勤めた著者の自叙伝でもある本書で、デューイとの出会いが街の人のみならず、アメリカ中、そして日本の猫好きまでを動かした事(残念ながら、NHKで放映されたという番組を見た記憶がありません)、取り分け、不幸な結婚、医療ミスによる心身の被害、シングルマザーとして頑張るが、行き違いが生じがちな思春期の娘との関係などなど、私的に多くのものを抱える著者にとって、どれだけ大きな支えとなってくれたかを述べています。ペットとのつながりが、人と人のつながりにも匹敵する程のものがあると言うのは、昨今の日本のペット事情(市場と言いたくなる話も多いですが…)の隆盛やアニマルセラピーの需要を裏付けてくれます。

愛らしく、KY(空気読めない)の反対のKY(空気読む→KYUとでも略すべきでしょうか? ^_^;) であるデューイは、猫好きならずとも出会った多くの人々の心に寄り添い、図書館と言う公共スペースでの動物の飼育に眉をひそめた、あるいは意義を感じなかった人々も、デューイの存在により町の知名度が上がるにつれ、賛同、あるいは黙認の側に回ります。

この手の話があると、必ず反対し、それもムチャクチャを言って来るが、言葉だけと言う人がいるのは定番でして、図書館も同一の人物からの執拗な手紙攻撃を受けますが、圧倒的多数に愛されたデューイは、腸が長過ぎて排便に苦しむという持病がありながら、18年余を生き続けました。

 なんと、このデューイの推定誕生日、我が家の長男と1日違いであります(長男の方が1日だけ早い)。続きを読む

kaikoizumi2005 at 16:36|PermalinkComments(0)

2009年03月15日

★「愛」なき国

「愛」なき国 介護の人材が逃げていく  /NHKスペシャル取材班/著 佐々木とく子/著 [本]
「愛」なき国 介護の人材が逃げていく /NHKスペシャル取材班/著 佐々木とく子/著 [本]
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 地区センターの棚で見つけた本。

 この本のおおもととなるドキュメンタリーの、少なくともどれかひとつは見たかと思いますが、その時、暗澹たる気持ちになったのを思い出します。

 今は未曾有の不景気という事で、ニュースでは介護職も選択肢の一つに入って来たと言いますが、この本が書かれた時点での介護に携わる方たちの労働条件、報酬等を見ると、こう言ってはなんですが、悪条件は改善せず、失職者の足下を見ているのではないかと懸念します。

 となると、当然、介護の質が心配です。

 本来は人間の尊厳を守る大事な職業なのに、生産性がない人の世話という事で、効率第一主義の日本では、アンペイドワークという形で、主に長男の嫁や未婚の娘などに背負わせていた介護。少子高齢化の中、家族だけでは背負いきれなくなった介護を社会的に分かち合う発想にはならず、点数制などで、相変わらず効率優先の結果、色々なひずみが出ています。

 介護報酬の算定の仕方、赤字にならないといけない社会福祉法人、必要なところに回せないサービス、などなど、私も見聞きする話がたくさん。

 ただ、介護保険のよさは、本文中で専門家が述べられているおうに、ある特定の世帯だけが(結局は女性が殆どですが)背負わされていた介護を、普遍的に考えざるを得なくなったところかと思います。

 しかし、アジアからの介護職の導入にしても、異様にハードルが高過ぎます。四年生大学を出ていなくちゃいけないとか、資格を取れなかったらお帰りいただくなど、これでは、母国と近く、往復が比較的楽というメリット以外、日本で働くことに対する魅力は乏しく、人材不足は解消出来ないでしょう。

 以前、よく冗談で「そのうちに姥捨て山法案ってのが通るよ」と言ってたのが、冗談ではなくなりそうで心配です。

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kaikoizumi2005 at 23:00|PermalinkComments(0)

2009年01月20日

★刑場に消ゆ



 もしも、白洲次郎、正子展を見に行った時に書店に寄らなければ、友人が興味を持った本の後ろの棚に入っていたこの本に指が伸びなければ出会わなかった本。開いてみて、不思議な縁を感じたのは、私が去年、一昨年と2回訪問し、ファンになってしまった近江八幡が重要な舞台になっていた事。しかも、ヴォーリスの開いた施設が舞台である。

 きっかけは著者が盲導犬の育成にかけて魔法使いのようだと絶賛する多和田悟(クィールで有名)との縁で、図書館の蔵書である大部の点訳本を納めた主である本書の主人公、二宮邦彦の存在を知った事。多和田さん自身が二宮邦彦の事をもっと知りたいと願ったようで、取材が進んでいく。

 端的に言ってしまえば、二宮は死刑囚であり、死刑判決が下りた後、贖罪の意識を持ちつつ、膨大な点訳を成し遂げたという事。周囲の援助者や献本を受ける近江八幡の援助者に看守に至るまで、誰もが、刑確定後からずっと執行されず、精魂こめて点訳を行う彼が本当に死刑になる日が来るとは思わず、よって減刑嘆願運動を起こすという事も考えられぬまま、ある日唐突に死刑宣告を受けて、彼は刑場に消えるのだが、その最後を看取った人の証言もある。実に立派な最期だったようである。

 二宮が何度も上告をしたのは、減刑してもらおうというよりは、より多く点訳をして行きたいからだったのではないかと言う著者だが、一方で、巻末あとがきにあるような不思議な話もある。

 同囚だった人の証言にもあるように、とてもそんな犯罪を犯すように思えなかった強殺犯二宮が出来上がった背景には、原爆投下による体調不良による職業的挫折があった事も見逃すことは出来ない(だからと言って、彼の犯した罪が許されるわけではないが)。また、その時代の同囚の中には後に冤罪が認められた門田氏のような人もいる一方で、恐らく冤罪であろうに死刑執行されてしまった人物もおり、捜査や司法のあり方を考えさせられもした。

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kaikoizumi2005 at 17:00|PermalinkComments(0)

2008年08月03日

★あの戦争から遠く離れて



 bk-1に書評を投稿しましたので、ダブルブッキングはまずいかなぁ〜と思いまして、削除しました。

 書評はこちらをご覧ください。

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kaikoizumi2005 at 22:21|PermalinkComments(0)

2008年06月29日

★不安な兵士たち



 実はこの本、最初に借りた時に、ちょうど旅行などにかかっていた時期で読み終えることが出来ず、もう一度借りました。図書館から借りた本でも、大概は期間中に読み終える、逆に読み終えなかった本は著者には申し訳ないけれど相性がいまひとつなので、再度借りるというのはレアなんですよね。つまり、それだけ、何としても読了したい本でした。

 オーストリア生まれの社会学者の著者は自衛隊研究のために、体験入隊をしたり、色々なツテを使って自衛隊の関連施設を見たり、行事を見たりし、日本人もなかなか知らない自衛隊の姿を捉えています。

 旧軍とのつながりを断ちたい部分と、つなげたい部分があったり、そもそも生い立ちからして非常に変則的な組織であるが故に、兵士たち(自衛官とフツーには呼びますね)も不安定・・・。続きを読む

kaikoizumi2005 at 15:00|PermalinkComments(0)

2008年06月14日

★高校生レストラン、本日も満席



 新聞の書評で見つけた本です。普段はご縁のないエリアのお話だったので、書評で紹介されていなかったら、気付かないままだったかも知れないと思うと、書評というものはやっぱりありがたいです。

 著者は三重県立相可高校の食物調理科専門調理師。教師として生徒を指導するようになるに至る半生記の部分が前段にあります。最初は実家の料理屋を継ごうと考えていたものの、前書きで語るように要所要所で出会う恩師のひとり、奇しくも後ほど相可高校で教員同士として再会する高校時代の恩師から「大学へ行っておけ」と言われ、親を説得してくれた結果、現在の著者があるようです。

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kaikoizumi2005 at 18:00|PermalinkComments(0)
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