2019年03月14日

国宝

国宝 (上) 青春篇
吉田修一
朝日新聞出版
2018-09-07



国宝 (下) 花道篇
吉田修一
朝日新聞出版
2018-09-07




 老眼傾向が強まる一方、あれこれ気が散って集中力が以前より欠けがちな昨今にしては珍しく怒涛の一気読みが出来た上下巻でした。

 長崎の組長の息子として生まれるも、抗争で親を失い、新年の座興に演じていた歌舞伎の真似に才能を見出した歌舞伎役者の家に引き取られ、さまざまな人と出会い、時に危ない思いをしつつ、名優に育っていく喜久雄を主役として、喜久雄のライバルでも良き友でもある役者の跡取り息子俊介、喜久雄の兄貴分として支えていく徳次、ときどき顔を出す浪速の元チンピラ、のちにお笑いの人気者となる弁天など、など魅力的な人物を配し、さらに養母、妻から愛人まで、喜久雄を支える女性たちなどを描く名調子。

 ついつい読まされてしまいます。

 もちろんフィクションですが、梨園の御曹司のあの人、この人、養子となって開花したあの人などの顔が思い浮かんでしまいます(後半に出場する、喜久雄と相性の良いゲラの立役は、鳴神で結界のしめ縄を断ち切るのがうまくいかず、ぷっと吹いてるのをみてしまった片岡仁左衛門若き日の姿を思い出しますし・・・)。

 そして、今に至るまで時々黒いうわさが流れる芸能界と暴力団の関係も描かれていて、堅気の素人には思い寄らない世界を覗き見させてくれる面白さも存分に味わえます。

 芸の世界の奥深さ、人生いろいろと歌い上げた島倉千代子さんの歌を思い出してしまいます(彼女も借金を背負わされたり、いろいろありながらの人生でした)。



kaikoizumi2005 at 21:27│Comments(0) 小説・物語 

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