2018年05月23日

★「家事のしすぎ」が日本を滅ぼす




  この本、うなずける内容だったのですが、たまたま非常にラッキーにも京都の老舗旅館「俵屋旅館」に泊まるチャンスをいただき、なおさら頷いてしまったのです。

 すなわち、日本の、特に男性が求める家庭の機能の集約を俵屋旅館に見て、です。

  誤解を恐れずに申しますと、俵屋さんのおもてなし、7割くらいまでは「次にこう来る」というのが分かりまして、戸惑うことなく受け止められました。

  というのは、女性は結婚したら、ちっとは働き続けても良いが、出産したら、退職し、企業戦士たる夫を支えるというのが不文律の最後の方の世代として、親や周囲から望まれた「気遣い」「気働き」が、俵屋さんのサービスと重なるところがとても多かったからです。

 私は能力が高くないので、実際のところは、家の中は静謐さとさりげない美しさを保っている俵屋とは大違い。ごちゃごちゃものだらけ。連泊出来たら、恐らくは毎日違うお食事を楽しめるであろう俵屋の、ていねいに出汁を取って、インスタント食品や化学調味料は無縁であろう料理とは大違いの手抜き三昧、かぶるの平気ですし、どっこが俵屋さんが分かるよ〜とバッシング必至なんですが・・・。

 とても能力が高い方は(ごく一部でしょう、だからこそマスコミに取り上げられたり、そこまで行かずとも、近隣の憧れの的になられる訳で)、子育てをしつつand/orお仕事をしつつ、建物の凝り方や建材などのレベルは及ばずとも、美しいきちんとした生活、手の込んだお料理、素敵なインテリアなどで、素晴らしい家庭を築いておられるのですが、これをフツーの女性がこなすって、ほぼ無理だと思います。

 実際に俵屋さんを見てても、玄関では履物の管理をしたり、お客様をお迎えする男性がいて、お部屋ではお客様付の女性がいて、見えませんが厨房には板前さんが、お掃除の方や、会計管理をされている方など、たくさんの支えがあるのが分かります。

 それを、子育てして、時として介護なども任され、一人で全部きちんと美しく、整った、くつろげる家庭を築けって・・・

 この本では「それは、お手伝いさんなど使用人を雇えた時代の、戦前の中流家庭の基準であって、主婦一人でできる事ではない」と書いていますが、全く同感です。

 使用人がいた時代のノウハウ書は、一見して家事のノウハウ書のように見えて、読み進むと、家政の書、つまり、使用人にやってもらうためには、自分も理解しておかなくてはならない常識を伝える書だったともありました。

 ところが、戦後、核家族になっても、結婚した女性に求められるレベルはほぼ変わりませんでした。それどころか、家電が入って来て便利になったでしょう、だからねという文脈で、かえってやることが増えているのでは?と感じます。

 特に最近では「女性が輝く社会」という一見してキラキラしいお題目で、女性の活躍を求めているのですが、本音は「納税してちょうだい」なのを感じます。

 ですが、そういう言葉を提唱する側は、使用人を置けるようなご身分の世襲政治家か、子ども時代から蝶よ花よとわが子のために尽くす家族がいて高学歴を経て官僚になったような、家事育児と言った瑣末な事(と彼らは、本音では信じているに違いない)を人にやらせて来た人が殆どと思われ、その瑣末な事がどれだけ大変か分かっていないで言っているものと思われます。

 家庭の教育方針にも寄りましょうが、特に私世代くらいまでは、家事は瑣末で、誰でもできる事と思ってる男性は多く、しかし、実際にやってみると、何の努力工夫もなしに誰でもがやすやすと出来る事ではない、頭でっかちには出来ない事なんですが、やらないでいるから、それもわからない、そして、要求水準は下げない。「誰のおかげで食ってるんだ!」(って、家事をやってくれてる人がいるから、おめぇは仕事だけしてられるんだろ!としとやかに育てられた女性は言えないようにしつけられていました。まるで、日大のアメフト選手が、理不尽だなと思っても言い返せず、思考停止でルール違反を犯してしまったように)と平気で言えたりもするのです。

 女性が輝くためには、こういう「誰かが誰かのために無償で働く(=今の日本では多くが、主婦が夫のために、あるいは保護・養育が必要ではない年令の家族のために無償で働く)」のが当然という既得権を撤廃は無理だとしても、大幅に減らさない限り、女性はへとへとにくたびれ果てるか、最初から、結婚という選択を忌避するかにならざるを得ないと思うのです。

 輝け!は英語ではshineですが・・・今の状態で女性に輝けは、過労で死ね(ローマ字表記でshine💦)と言ってるように聞こえちゃうんですけど・・・・(;^_^A

 理想の主婦、主婦の鑑的なバックアップをしてくれるから、快適でまた来たくなる旅館、そのお値段は決して安いものではありません。私のようなビンボー旅行主義者は手が届かないお値段。つまり、それが本来、快適に家庭を整える主婦労働の対価である訳です。そりゃ、おもてなしのプロのように完璧にはいかないでしょうけれど、何人もが手分けして下支えして、お客様から対価をいただける仕事としている事を、一人で一手に引き受けるのですから、相応の価値があると思います。

 一部の超優秀な方、もしくはそれを仕事とされている方以外による、主婦の鑑はもう無理な時代でしょう。煙管屋が今や希少価値になってしまったが如く、高級旅館のもてなしの中に残る遺物となりつつあるのを感じます、というか、遺物になってくれないと、あれもこれも、全部主婦に望む世の中(PTAだの、町内会だのの、無償奉仕も含めて)は絶滅しないと、日本の少子化は止まらないだろうなぁと、極上のおもてなしをしてくれる旅館で感じた次第です。

省力化と言いつつ、便利なサービスや商品が次々と出て来て、買え買えアピール、結局のところ、なんだかんだ家事が求められる(増やす方向が終わったら、今度は断捨離だの片づけだの)のもなんかなぁと思うのですが、これからの時代、ワンオペはダメ、俵屋さんみたいな完璧を目指さなくていいから、家族で手分けして、やっていかないと、一緒にいる事で、雑然としたことが増えて、手間がかかる家族というもの自体がなくなるだろなぁ。(;^ω^)

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kaikoizumi2005 at 13:23│Comments(0) 評論・社会事象評価 | 教育・健康・福祉等

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