2017年02月28日

★官賊と幕臣たち

  正直に言います。

  私、長州の下級士族の血を引いているらしいんですが、こと、幕末史になると、だんこ佐幕派です。

  特に会津に対するふるまいや、小栗上野介親子に対するふるまいなど、この本の著者が言うように、テロですよ。フランス革命の時に、扇動に乗った民衆が貴族にとんでもない残虐な仕打ちをしたのと同じレベルの愚行だったと思います。

 一般的に歴史上は幕軍が賊扱いで、薩長を中心とする維新推進側(というのも、実はかなり怪しいようで、明治になってから、榎本武揚に代表されるような元幕臣の力を借りねばならない状況であったので、倒幕がなければ、人材豊富な幕府がそれなりに改革をしていたのではと・・・)が官軍と解釈されていますが、実態は賊をつけて呼んだ方がいいのはどちらかと問題提起をしているタイトルであります。

 著者によれば、尊王と口では言いながら、天皇を玉と呼び、人質やら担保やらの物のように扱って、その権威を利用しての維新勢力の暴虐は、第二次世界大戦の天皇の扱いに通じるものがあるとの事。

  薩長の結びつきは坂本龍馬の仲介以前に出来ており、坂本龍馬は死の商人であったグラバー商会の下っ端に過ぎない・・・英雄は司馬遼太郎による物語と、龍馬ファンには噴飯ものの記述があったり、大河ドラマ等で称えられる幕末維新派の人たちもほぼけちょんけちょんであります。その一方で、大阪から味方を置き去りに江戸に逃げ帰った最後の将軍、徳川慶喜を平時は聡明だが、緊急対応は出来ず、みっともないというか無様というような事も書いてありました。

  が、勝てば官軍という言葉通り、歴史は勝者が描くもので、勝者に不都合なことと、敗者の良き行いは極力隠され、勝者の良き行いと敗者の極悪非道ぶりが誇張されて来たのは、ほぼ間違いありません(なもので、最近は石田三成が見直されたりもしている訳です)。

  しかし、薩長の薩はともかくとして、長の方は未だにその末裔が日本政治を牛耳っているのですから、その長が権勢を誇るようになったきっかけの事物が悪く言われるわけはないのでして・・・勝者である長の歴史が定説としてがっちりと維持されている中、著者のような見方をするのはなかなか勇気が要ります。

  著者は滋賀県出身だからと、井伊直弼ひいきからこのような見方をするのかと批判されるが、自分は浅井の勢力下で、むしろ井伊家とは敵対勢力という感じを抱いて来たので、決してそのようなことはないと言うが如く、私は桂小五郎のパシリをしていたという先祖を持ちながら、長州のやり方、汚いぞと思ってる訳です。

  大河ドラマとか小説になった(著者の想像により人物が造形されていてオリジナルの人となりとは違っている)歴史以外も見なくてはね・・・と改めて思いました。

 幕府の情報収集が侮れないものだったことを語り、鎖国の実態とはどうだったのかという事を、江戸初期からたどっていて、宣教師やキリシタン大名への見方も変わりました。

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kaikoizumi2005 at 23:59│Comments(0)歴史・地域情報 

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