2016年08月27日

八ヶ岳での読書 3

  すっきり晴れた日というのは、お盆からあとの八ヶ岳ではなかったっけ、と思い起こす毎日です。洗濯物がからりと乾く日はこちらに来てから、片手で十分足ります。午後からいきなり雷雨という日もあるので、洗濯すると、家に足止めになります。そういうときは読書に限りますね。




 最近の新書は2時間もあれば読めるライトなものが多いので、いささか侮っておりました。こちらの本、学者さんが書いたなという感じのかたい文章で、今の私の知力では読むのに相当時間がかかりました(大変失礼ながら、この本を寝床で読むと、入眠しやすかったです。ごめんなさい、要するに私の頭が悪いだけです)。

 最近の都知事選で自民党公認で敗れた増田さんが書いた増田レポートに対する反証です。 著者は増田さん方式は地方消滅、それを防ぐにはと大都市圏が、地方を切り捨て選別することを推しているのを批判しています。この時点ではまだ政府の提唱する政策の方が希望が見えている旨書いておられますが、今はどういう風に思われているのかなとちょっと気になりました。

 私のような2拠点居住をしているものとしては、著者のいう、住民票が置かれている場所で人口をカウントして、地方を人口減少している、余分なコストがかかるからと切り捨てていくのはいかがなものか、一人2住民票だってありだろうと書いておられますが、かなり頷けました。

  しかしながら、ここ北杜市にいると、学校統合などで、親の送迎負担が以前より増えている(観光地として人気なのは良いが、その分、得体のしれない人間も流れ込んできており、犯罪のリスクがあるので、勝手に歩いてかえっておいでとは言えないようです。外に何か出しておくと、勝手に持っていかれるという話を、今日も聞いたばかりです)し、公共交通もいっときはほぼ壊滅状態でした。切り捨ての結果の悪循環で、さらなる人口減を招いて、それを理由に選別するという国家主義に対して、別の方向性をを選ぶことを説いています。




 いただいたのは私家本のようなのですが、上記本の著者の方と直接お話して、「ヒロシマからの出発」というご本をいただきました。

 被爆体験を持つ方が、記者等の聞き書きではない一人称で語られる作品を読んだのはたぶん、初めてです。14歳という多感な時期に被爆されて、以降、死を覚悟しなくてはな重篤な健康被害を経て、本調子というような体調であったことは一度としてないそうですが、そんな中で、語り部として、還暦を過ぎてから語学留学、そして世界を駆け回られているパワーには脱帽です。

 日本だと、根回しやら許可やら大変ですが、海外では広島出身と聞いただけで、すぐに学校での体験学習のような場や講演会を設けてくれるそうで、我彼の差も感じます。日本の方がむしろ無関心な人が多いとも。

 凄惨な原爆投下後の広島の様子をありありと描かれているのですが、折々に美しい自然が、そして、人の心の温かさが描かれていて、また、大切な人を喪う痛切さや、家族間の葛藤まで包み隠さず書いておられるので、読ませる力がありました。




 こちらはまた大変に読みやすい本でした。というのは、本人の体験部分が多く、観念ではない事も大きいですが、私自身関心が強い分野だからだと思います。

 私はそんなに厳密ではないですが、敢えて分けたら左翼側になるかと思います(と言いつつ、牛丼やファミレスもよく使いますが)。当然ながら、農薬の過多使用や、遺伝子組み換え食品は反対の立場です。

 ところが、この本を読むと、遺伝子組み換え食品に対する発がん性などは科学的根拠がない実験結果から喧伝されているし、遺伝子組み換えにより、生産性が上がり、発展途上国を飢餓から救うことにもなる。一方で有機農業は手間やコストがかかり、発展途上国の人たちの飢餓には何の貢献もない、と。

 そういう考え方もあるのですね。 ただし、米企業モンサントを中心とする遺伝子組み換えの種は特許製品であり、農家がその種から発芽した作物で種を採取して撒くのは違反というあたりに、うさん臭さを感じざるを得ません。日本で一般的だというハイブリッド種なども、一代限りで、種を買うために農家が利益を上げられない論は読んだことがありますが、それと通じるものがある上、いかに科学的根拠がないとは言っても、やっぱり異なるものを組み合わせた不自然な食品をずっと摂取する事には抵抗がありますし、今は出ていないだけ、今後何か出てくるかも知れないという懸念はあります。

 というような新たな考え方に接することができる本でした。

 フード左翼はできるだけナチュラル健康に、右翼は健康なんてどうでもいいからビッグサイズやコテコテの家系ラーメンにこだわる傾向があるそうです。

 面白いと思ったのは政治的見解で左翼が右翼に転向すると、まず戻ることはない(として、様々な右翼、または右翼的心情の持ち主を紹介。読売新聞のナベツネさんは元は共産党員だったとは(@_@))けれど、こと食に関してはフード右翼がフード左翼に転向し、戻ることはなさそうという記述でした。

 セントラルキッチンのこと、高齢化社会に於いての必ずしも暗いとはいえないセントラルキッチンの構想なども興味深く読めました。

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kaikoizumi2005 at 22:49│Comments(0)評論・社会事象評価 | 自叙伝・人物評伝等

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