2014年04月29日

□もしものときに迷わない遺品整理の話

 久しぶりに本が好き!の献本をいただきました。



 私自身、親の遺品を整理した経験があります。ただし、母亡きあとは逆さ縁に泣きながら、気丈な祖母がだいぶん片づけてくれたし、父亡き後は、モノをあまり買わない、やたらと筆まめな人だったので、終われたのは紙類の始末だけでした。

 ですが、それだけでも決して楽な作業では無かったです。特に、親亡き後の空き家となった家に入り込むと、付喪神という言葉が生まれたわけがわかるような・・・主の亡くなったモノたちから発する妖気に近いようなものを感じ、故人への懐かしみとはまた別な感じを味わいました。

 この本では、遺品整理のプロである著者が体験した、様々な現場をプライバシーが特定されないように加工しつつ紹介していますが、読んでいて、自分の体験したのは、しんどいようでも、かなり楽な方だったとわかりました。

 著者の遺品整理というのは、あくまでも人のいなくなった住居に立ち入っての仕事なので、孤独死の壮絶な後始末のような悲惨さはほとんどありませんが、それでも、足の踏み場もなくなっている住居や、故人があれをくれる筈だったと勝手に入り込む知人、自称親戚などが現れたり、と珍事には事欠きません。また、ごく普通の遺品整理のつもりが、負の遺産があるとわかって、手を付ける前に、まず弁護士に相談した方が良いというケースも少なくはないようです。

 いろいろな例を読むと、様々な人生模様があるのだなぁと興味深く思いますが、あらかたの事例は、自分はほとんど何もせずに逝ってしまって、もはや現世に手出しはできない方たちの後始末であり、著者が一番言いたいことは、今生きている自分が、いずれやってくる死後に、周囲を困らせないように、生前から整理をしておくべきだという事なのだとわかります。

 
 家族だからわかると思って、伝えなかったりした事が、遺品整理にあたって大きな障害になったり、あるいは、遺品整理をして初めて、その人のある部分がわかったり・・・。そして、今の時代らしい項目として、ネット上の遺品という項目もあります。

 私自身、もしも、死神さんがやってきたら、このブログはどうなるんだろうと思います。Facebookでは追悼アカウントというのがあるそうですが、ブログは放っておけば自然に消滅してくれるものではないので、パスワードや設定について、何らかの形でわかるようにしておく必要があるのかも知れません。

 遺言書以前に、エンディングノートで思いを書いておくことも必要ですし、貯金通帳や有価証券の把握も大事だし、たとえば、書画骨董については由来を書きつけておく事で、判断材料になりますし(つい、先日もお父さんが骨董商から1000円で買った怪しい手紙が坂本龍馬の真筆と分かって話題になりましたが、ご本人存命でなかったら、あるいはごみと化していたかも知れません)、宝飾品なども、由来を伝えておいた方が良いのかもしれません。

 ただし、業者さんだからこそ言えるのは、遺しておいてほしいと伝えるのは、最低限にした方が負担にならないという事。よくあるような、自分の大事なコレクションだから、保管して子孫に伝えてくれというような話は、広大な邸宅に住んでいる富裕な相続者でもない限り、困惑の塊になるのが一般的だからです。

 そして、今流行りの終活にあたっては、子どもなど、家族と話し合いをして決めることが理想的と、著者が遭遇した子ども世代の戸惑いを通して述べています。

 また成年後見制度についても、簡単ではありますが、触れてあります。認知症が問題になっている現在、成年後見制度の利用も増えていくかと思うので、遺品整理の観点からも外せないポイントのようです。

 この本は、遺品整理のみならず、終活やエンディングノートと言った、誰にも必ず訪れる死に際して大切な項目を抑えていますが、特に、遺族が亡くなった人に確認できない遺品整理において、トラブルにつながりそうな場合は、すぐに弁護士等に相談するなどの、大事なポイントを教えてくれていて、これから遺品整理をする予定がありそうな方は、一度目を通しておくと安心かと思います。



 唯一、惜しかったなぁと思うのは・・・形見分けしたり、売ったり、捨てたりする以外に、寄贈という手がある事にも触れていてくれなかった事です。

 必ずしも受け取ってもらえるとは限りませんが、我が家では、実家を畳むときに市立博物館に連絡して、学芸員さんにチェックしてもらいました。意外にも、彼が欲しいと持って行ったのは、竹製の布団たたきや、昔懐かしい寒暖計と言った、私の目からはただのくたびれたゴミみたいなものでしたが、そういう普通の家庭では無造作に捨てていたのちに違いないモノたちこそが、昭和の暮らしの証として、不足しているようでした。こちらがそれなりに価値があると思うようなものは既に所蔵していて、ノーモアだった訳です(笑)。

 また、兄は祖母の遺品の戦前のSPレコードを長野県内の博物館に寄贈したそうで、そちらは骨董扱いだったのでしょう。おそらく、前畑頑張れ!のアナウンサーの絶叫版も混ざっていた筈で、寄贈前に聞かせてもらいたかったなぁと思いますが、遺品整理をしなかった身が、あれこれ言ってはいけません(という類のことはこの本にも書いてあります)。

 遺品整理が残された人たちの負担とならないように、なるべくなら、生前整理をしておきたいもの。けれども、諸事情で業者さんにお願いしなくてはならない時には、この本の著者のような、亡くなられた方に敬意を表してくれるような良心的なところにお願いしたいものです。


 
 

kaikoizumi2005 at 22:03│Comments(0) 実用書 | 人生訓・生き方のヒント等

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