2011年08月04日

★絶滅危惧駅舎



 地元紙の書評面の地元関連コーナーで見つけた本です。

コンパクトで一ページに一カ所の駅舎の写真と所在地、概要が載っていて、明治の駅舎、モダニズムの駅舎、神社仏閣駅舎、などなど特徴別に分けられ、廃線跡になお残る駅舎というのもあり、どこから読んでも楽しめます。

絶滅危惧ですから、例えば重要文化財に指定されている門司港駅とか、取り壊しの話を文化人や愛する人びとの働きでめでたくも撤回、只今修復中の東京駅のような「安泰」な駅は掲載されていません。

使い勝手が悪い、高架化の予定があるから、などの理由で風前の灯火状態の駅舎もあれば、経済的にペイしないから放置されたままの廃線跡の駅舎もあります。

著者は冒頭に快適で清潔で管理しやすい公衆便所のごとき駅舎の列が延々と続く日本の風景にならないように願うと述べていますが、似たり寄ったりの機能的駅舎は、確かに便利では有りますが、風情は有りませんね。

序文を読んで、私のハンドルネームの由来としている田舎の鄙びているけど、地元の人が投句するための箱が有ったり、ささやかながらあたたかみのある花が生けられていた小さな木造駅が、久しぶりに立ち寄ったら、もはや駅舎とは言えない代物と化していた驚きを思い出しました。

乗降客の少ない無人駅だからでしょうが、バス停と見間違える程の大きさで、土砂降りならばしのぐ事も難しそう。見た瞬間、本当に情けない気持ちになりました。

また、日本第二の人口を抱える横浜の駅舎のみっともなさ。ガウディの建築ならば許せますが、子どもの頃からいつ行っても工事中。永遠の未完成かと呼びたくなりますが、それでも、かつてはそごうのある東口には上野駅舎タイプの四角い建物に丸い時計が有り、駅だと分かったものでした。

相鉄以外、どの路線も始発駅ではなく、国鉄(現JR)、私鉄が入り混じっているからにしても、中も外もつぎはぎだらけで何のポリシーも文化も感じられない営利優先が見え見えです。

せめて、この本をめくって、小さくとも風格のある駅舎が長らえる事を祈り、機会があれば会いに行きたいと思います。


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kaikoizumi2005 at 11:30│Comments(0) 写真集・画集等アート系 | 歴史・地域情報

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