2010年12月05日

□国宝トゥナイト



  世界初!国宝ラブコメディ、国宝x恋愛と帯の表紙側には書いてあり、裏には大人気のWebマンガがついに単行本化!とありますが、その文章のまえに、小さめに「一部で」と書いてあるのが正直で笑えます。

 主人公は隠れ国宝女子(こくじょ)の岡倉てんこりん、ほんにゃら出版社勤務。言わずと知れた岡倉天心のもじりですね〜。親友が世界遺産マニアのイラストレーターの笛乃ロサ(天心と共に日本美術を再発見したフェノロサのもじり)、元彼が岸田劉生ならぬ岸田流星、ライバルの会社同僚が狩野カノン(狩野派の末裔)などなど、国宝・日本美術がらみの名前を持つメインキャラに加え、突然現れててんこりんの邪魔をしているとしか思えないエトウ、てんこりんが気になる国宝巡りで出会うひらぎのなおみ、その他大勢として、てこりんの家族や会社の上司等が登場致します。


 が、本当のメインキャラクターは国宝群なのでしょうね。

 古い頭の私にとって、御仏に対し、キタ〜!という表現は罰当たりでいただけませんが(笑)、でも、美術品として目の当たりにすると、そうなっちゃうかも知れませんし、国宝に対峙した時の気持ちを現そうとしたら、ページがいくらあっても足らないと著者も考えたのでしょうね。

 てんこりんは国宝の向こう側が見えてしまう特殊能力があり、憧れの阿修羅から強烈に振られたり、御仏からアドバイスを受けたりもします。でも、国宝大好きなのに、隠れコクジョとして、へらへらしています。ライバルのカノンが堂々と国宝好きを公言しているのと対照的。

 個人的に、あるいは仕事絡みで、てんこりんは様々な国宝と会いますが、その時に気になる男性といい雰囲気になるかと思うと、エトウが現れて、てんこりんが大ムクレというオチが付く章が多いです。エトウ・・てんこりんに片思い中のようで・・・

 私も大好きな阿修羅(何せ中学時代に初めてお会いして以来、私にとっては永遠の恋人ですよ。こちらは随分年を取ってしまったのに、彼は永遠の美少年!)、長谷川等伯v.s狩野派(等伯展、80分並んだ〜(涙))、三十三間堂に東寺(京都好きなら当然クリア!?)、与謝野晶子が美男におわすと言った鎌倉大仏に、奈良の大仏、陶版名画の庭で拡大されたものしか見ていない鳥獣戯画に、これから行かなくちゃの姫路城などなど、数多の国宝の中で最もポピュラーなものや、最近めっきり知名度の高くなったものを取り上げていて、復習に予習、なかなか勉強になります。

 巻末にはカラーで主だった国宝、重要文化財や世界遺産の写真と国宝切手、更に美術史年表が載っていて、国宝について更に知りたい人にとっては親切な作りだと思います。


 しかし、このマンガを手に取って最大の最大の疑問は・・・・あのぉ、国宝好きって、若い女性にとって公言するのがはばかれるんでしょうかぁ・・・と、国宝大好きなオバサンは首をかしげました(だから、若い頃(ですら!)私はもてなかったのか?と自問^_^;)。

 日本美術まんがと銘打っているからには、続編がある事を期待しております!(コミカルでありながら、ツボを押さえた絵、結構気に入りました)(^_^)


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kaikoizumi2005 at 22:00│Comments(0) コミック・コミック風エッセイ等 | ムック・うんちく系

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