2008年07月21日

□麻酔医ハナ 1


麻酔科医ハナ 1
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書評/健康・医学


 世界で初めて乳癌の麻酔手術を行った事が証明されている江戸時代の医師、華岡青洲から取ったと思しきヒロインの名前はいささか鬱陶しいけれど華岡ハナ。元気いっぱいのグラマーな麻酔医であり、昼夜を分かたずの激務。外科医からは格下に扱われ、おまけに時としてセクハラも受けて・・・という事で、もうやめる、やめてやる!と言いつつも、人命を救うための縁の下の力持ちである麻酔医の仕事が結局は好きでやめられない・・・という様子を劇画で綴っている作品。

 今、医療の世界で圧倒的に不足している事が有名なのが産婦人科と小児科医であるが、これに加えて麻酔医も、激務の上に訴訟リスクもあり、という事で、なり手がなかなかいない状況だそうだ。


 医療の世界では9時5時という楽チンに思われる分野もあって、眼科、皮膚科、精神科などがそれに相当する、と本作品ではやや揶揄混じりに描かれているが、こと、精神科については専門医が少なく、順番待ちの現状を耳目にするし、医師自身が精神のバランスを崩す事があるとも聞いた事があるのし、多分、楽とされたほかの診療科でも、何らかの苦労はあると思われるので、一概に揶揄してしまってよいのかという疑問は感じた。

 また、男性読者向けサービスのため、巻末にあるように、敢えてグラマーな女医とし、無意味な着替えの場面等があるのは、女性読者にとっては余計な部分である。セクハラのある現場と言いながら、読者自身がセクハラの視線で読んでいるという矛盾はコミック誌を売るためには仕方ない設定なのかと思うが、ハナ自体はサッパリと気持ちよい性格なので、ネチャネチャした嫌な感じがしないのが幸い。

 そんな風にちょっと欠点はある作品ではあるが、麻酔医という労多くして報われることの少ない厳しいプロフェッショナルの世界を、臨場感溢れる劇画で表現していて好感が持てると共に、現代の医療に対する問題提起も行っている作品だと思う。

 この先は麻酔医としての問題に集中してストーリーが展開するのか、医療が抱えている様々な問題にまで広がるのか・・・いずれにせよ続きもぜひ読んでみたい。

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kaikoizumi2005 at 20:24│Comments(0) 雑誌・コミック | 教育・健康・福祉等

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