2008年07月19日

★京の職人衆が語る桂離宮



  市民図書の棚にあり、気になりながら読んでいなかったこの本、この度念願かなって桂離宮参観が出来る事となり、やっと手にしました。

桂離宮の昭和の解体修理に携わった安井杢工務店のご兄弟を軸に、様々な部材に関わった職人さん達の語りを通して伝統や技術を紹介しています。

それはそれは贅沢な造りの桂離宮。割が合わないと廃れゆく職人の技。安井兄弟は隠れた功労者である職人さん達に光が当たりにくかったりする状況や、効率優先の現代建築に対してしばしば批判的。そして、実際に多くの職人さんたちが「私の代で終わり」と言っているのを読むと(この本が出版されて既に7年経つ)、日本文化の大事な部分が喪われていく危機感をひしひしと感じます。

  それと共に、本物の技術を持つ人たちの凄みを感じ、一方で頭でっかちで何事をもなしえない自分を小さい浅いものに感じもするのですが・・・せめても、本物を見分ける目が欲しいところですが、経済的な問題やら美的センスの問題やらで、甚だ怪しいのが現状です。

  手仕事は極端にお値段のかかる芸術的世界(この本で紹介されている職人さんたちもこちら側に属しておられると言えましょう)か、安くて手の掛からない大量生産だけど味わいのないものとにパッツリ2分されてしまったように思われる現在。誰もが桂離宮のような第一線級の職人の技術に触れるのは到底無理ですが、もう少し味わいのある、いい仕事と触れられるような制度やゆとりが達成されてこそ、本当に豊かな世の中と言えるのだろうと思いました。

 マナーの悪い産観客のせいもあり、また傷むという事もあり、上がっての参観がかなわなくなってしまったものの、楽しみです。

 この本にあちこちに散りばめられた安井御兄弟や職人さんたちの言葉に色々考えさせられますし、一筋に歩んだ方たちの教養の深さには頭が下がります。

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kaikoizumi2005 at 23:32│Comments(0) 携帯からの投稿 | 歴史・地域情報

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