2008年06月29日

☆高機能自閉症 誕生から就職まで



 知人から借りた本です。現在20代前半で元気に働く高機能自閉症(大きな知的発達の遅延を伴わない自閉症)の青年の母上による手記であります。

 お子さんのあれれという状態のせいではないとは思うのですが、幸せな家庭のはずが、あっけなく離婚になった幼少時代(しかも、青年の弟さんに当たる赤ちゃんを授かった時期でした)を経て、著者は子育てに違和感を感じつつ、子どもの障がいをなかなか受容できなかったり、いじめに遭わないで済む学校探しに奔走したりします。

 先に読んだ水木しげるさんの奥さんとはまた違いますが、マイナスからのスタートと言える状態を悪戦苦闘しつつ乗り越えていった立派なお母さんであります。

 つい先年まで学区の概念が厳しかったこともあり、孟母三遷の教えを地で行く母の努力には頭が下がりますし、こんないいお母さんになれないと思えてしまいますが、逆に言うと、そこまで頑張らないと、障がいのある人、特に高機能と言われる人(一見して障がいが分からない)が快適に暮らすことが出来ないと語っている訳でもあり、厚い支援の必要性が迫ってきます。

 ところどころに、あの時こうすればよかったとか、行政に対する希望等のポイントが挟み込まれ、これから発達障がいのあるお子さんを育てようという保護者の方にもとても参考になる本だと思います。

 それにしても・・・著者の元ご主人の弱さはなんでしょねぇ。家族の経済学にあった「あわよくば子育てを逃れたい」だっただけとは思えませんが・・・ちらっと、夫の身内の対処に対する不満が描かれているものの、それ以上の事が書かれていないので、分かりませんが・・・軽度の障がいをもつ子どもを授かったご家庭が崩壊する(しかも、殆どの場合、男性が逃げると言った感じで)という事例を多く耳にするので、それも支援が厚ければもう少し何とかなったかも?と思うのです。

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kaikoizumi2005 at 17:00│Comments(0) 自叙伝・人物評伝等 | 教育・健康・福祉等

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